本:レビュー「エースの品格」
野村克也さんを初めて知ったのは小学生の時
2020年2月11日に野村克也さんが亡くなりました。
私が、小学生で野球観戦に興味を持ち始めたころ、野村克也さんはヤクルトの監督をされているときでした。
その当時のヤクルトは弱小チームで、なぜかうちの父親はヤクルトびいきでした。
どうやら、弱小チームが強豪のジャイアンツを倒す瞬間を見るのが好きだったようす。
そんな野村克也さんの本と出会うのはそれから10年以上してからのことだったのです。
野村克也さんの本を手に取るきっかけをくれたのはあの選手・・・
それから社会人になり、本屋をブラブラしていた時のことです。
ある本が目に入ってきました。
それは野村克也さんが著した「エースの品格」という本でした。
この本を目にしたときに、すぐにイメージしたのは”伊藤智仁投手”でした。
ご存じの方も多いと思いますが、素晴らしい成績を残された投手である一方、ケガとの戦いも多かった選手です。
しかし、私の中ではヤクルト時代にスイスイと三振を取る”伊藤智仁投手=エース”という印象が強く、その記憶がよみがえってきました。
なので、この本を見た瞬間、
「野村克也さんは伊藤智仁投手のことをどう評価しているんだろう?」と興味を持ちました。
そして、本の目次をパラパラとめくると、そこには、伊藤智仁投手の名前が!
その次の瞬間には、この本を手に取りレジに向かっていました。
そして本を読んでみると、
その日の伊藤のピッチングは私を魅了してやまなかった。夢中になって見とれてしまったのである。
しかし、ヤクルト以降の監督生活を振り返って回想するに、故障という大きなハンディを差し引いてもなお、伊藤智仁という人間こそ”真のエース”になれるただ一人のピッチャーだった。
などなど、伊藤智仁投手を絶賛する言葉が並んでいました。
これを読みながら、なぜか自分のことのように喜んでいたのを覚えています。
「あんなに厳しそうな監督が絶賛するなんて、やっぱり伊藤智仁投手はすごかったんだな」と思ったものです。
野村克也さんの本から社会人として学ぶことも多かった
野村さんの伊藤智仁投手の評価を知りたくて手に取ったこの本。
実は、それ以外にこの本から学んだことがたくさんあります。
その文章と自分の感じたことを下記に書いておきます。
仕事を通じて人間は成長し、成長した人間が仕事を通じて「世のため人のため」に報いていく。
それが人生というのものではないか、この世に生まれて出てくる意味ではないだろうか、と。
ならば、野球という仕事を選んだ以上、ただ単にレクリエーション感覚で取り組んでもらっては困る。
これは、社会人なりたての私に「何のために働くか」、「どう生きるか」 を考えるきっかけをくれた文章です。
限られた人生を何のために生きるのか。
そんな人生観を確立すれば、無駄な時間なんて一切なくなるのではないでしょうか。
この文章を見てから、私はただ働くのではなく、せめて「自分が成長できるように働こう」と心がけました。
それからは、「自分の成長が止まりそうだ」と思ったら、その都度、部署異動を申し出て、新しい環境での経験を求めました。
それがきっかけで今の自分は、製造業の受注からもの作り・生産管理・原価管理までの実態をある程度理解できたと思っています。
このことが転職した時にもとても役に立ち、転職したてでも実務を早く覚えられたり、業務の改善案を提案することができています。
漠然たる夢は皆抱いているに違いないのだが、ただ抱いているだけで、どのように努力すればいいのかわからないのである。
努力の仕方が分からない。それはなぜなのか。
「こうなりたい」という理想があるのに、そこに進むための手順が分かっていないのではないでしょうか。
その手順が分からないのは、単純に考えることをサボっているのか、「こうなりたい」と本気で思っていないかのどちらかであると思います。
これは、先に述べた人生観がしっかり確立できていれば、「努力の仕方が分からない」などという、無駄な時間を過ごすことはなく、少なくとも、「どう努力すべきか」を考えるはずです。
選手たちには「自分の可能性を自分で限定するな」と言いつけてある。
「どうせ俺はこんなもの」と思ったとたん、現状維持どころか人間の力は落ちていく一方だ。
「満足、妥協、限定はプロ野球選手にとって三大禁句なのである。
自分の可能性を自分で決めないこと、そして、現状に満足せずにさらに上を目指すことの大切さを教えてくれた文章です。
現状に満足せずに上を目指すためには、ゆとりが必要だと私は考えています。
常に業務に手一杯では、「上を目指すにはどうすべきか」を考えることが中々できません。
そこで、まずは現状の自分に与えられた業務をいかに効率的にこなし、自分のゆとりを作り出すかを考える必要があります。
業務を効率化できることで自分の次に目指すべきものが見えてきます。
なので、自分を成長させるには、
①新しい分野(部署)に飛び込む
②効率化する
③空いた時間で、次に目指すべきことを模索する
という流れが重要だと思っています。
②でつまずく場合は、まだ自分の業務に対する理解が浅いということです。
こうやって改めて、文章にしてみると野村克也さんの本から学んだことはとても大きかったように思います。
「なぜ働くのか」、「何のために働くのか」、「どうやって生きるのか」・・・など、人生を送るための大前提を考えさせられる内容だからなのではないでしょうか。
今一度、自分の人生を考えるきっかけになる文章に出会えると思いますので、興味がある方は、野村克也さんの著書を手に取ってみることをおすすめします。
本当はもう一冊、影響を受けた本があるのですが、長くなってしまったので本日はこの辺で終わりたいと思います。