bungoの雑記帳

働く、お金、気づきなどについて日々感じたこと

再生産費とは~マルクスの資本論~

1.「100分de名著」で資本論に興味が湧いた

別の記事で、マルクス資本論について書きました。

働くことについて再度、考える良い機会となりました。

 

そこで、「マルクス資本論って、どんなものなのか?」という疑問がわいてきたので、少し調べ始めました。

 

その中で、下記のYouTube動画を見つけました。

 

その内容がとても分かりやすかったので、文章としても残しておきたいと思います。

 

 

2.マルクスは資本主義は崩壊すると思っていた

マルクスは19世紀のイギリスで、当時最先端の資本主義を間近で見ていた。

 

マルクス以外の経済学者は資本主義によって、自由に経済が回っていくことを正義と思っていた。

 

しかし、マルクスだけは資本主義は崩壊すると思っていた。

なぜかというと、資本主義は「資本家が好き勝手商売して、儲かるやつがもっと儲かる」という構造をもっているから。

 

マルクスが考えていた具体的な資本主義の崩壊までの道筋は、

①資本主義が加速する

②資本家が雪だるま式にお金を儲ける

③その一方、労働者は奴隷のような存在になり、搾取され続ける。

④お金もない。最後は、労働者が反逆に出て、資本主義は崩壊する。

というものだった。

 

 

しかし、実際の資本主義は崩壊していない。

マルクスの考えに影響を受けて、資本主義と正反対の社会主義に舵を切ったソ連や中国が壊滅した。

 

社会主義には競争が無い。

すべてを国が計画しその通りに進める。

 

会社の動きをすべて国が管理し、作る製品の数も国が管理する。

給料も国が決める。

競争しないで、不満が無いように平等にすべて国が計画する社会。

これが社会主義

 

この社会主義が崩壊した理由は、サボる人が続出したから。

 

人間は頑張った分ご褒美がもらえるなど、見返りがあるから頑張れる。

しかし、サボっても、頑張っても給料が同じならみんなサボるようになった。

 

その結果、仕事、会社、国の進化が止まり、崩壊へつながった。

 

では、資本主義がベストかといえばそうではない。資本主義も様々なリスクを抱えている。

 

資本主義にも、間違いなく欠陥がある。

それは、資本家が労働者を搾取すること。

 

この欠陥は好景気の時には中々世に現れない。

 リーマンショックの時の派遣切りのように不景気の時にこそ、この影響が表れる。

 

 

3.資本主義は商品で成り立っている

資本主義は資本家が労働者を搾取する構造になっている。

これはマルクスの主張の中で一番大切な部分であり、資本主義の闇ともいえる部分。

サラリーマンにとっても理解しておくことは重要。

 
まず、資本主義は何で構成されているのか?
その答えはズバリ、”商品”。

 

資本主義の世界は商品を売ったり、買ったりすることで成り立っている。

資本主義を人間の体と考えると、商品は細胞のようなもの。


次にマルクスは商品の値段に注目した。

商品にも値段の高いものと安いものがある。

この商品の値段の差は何から生まれるのか?

 

それは、労働力。
その商品にどれだけの労働力が詰め込まれているかで、商品の値段は決まる。


●具体例
 ->木材を焚火に使いたい人に販売する場合、商品の値段は安い
 それは、労働力が詰め込まれていないから。


 ->木材をテーブルに加工して販売すると値段は高い。
 労働力が詰め込まれているため、値段も高額になる。


しかし、全く同じテーブルでも簡単に作る機械が開発され、職人さんの長い労働が不要になり、パートの人がワンボタン押すだけでよくなれば値段はガクンと下がる。

減価償却費の関係で機械を買うコストが影響し、一時的に値段は高くなる方に働くが、最後、商品の値段を決めるのは、労働者の労働力。

 

3.労働力はコスパが良い。ポイントは”再生産費”

商品の値段は、労働者の労働力で決まる。

 

そこに目を付けたのが資本家。

資本家は労働が価値を生む源だということに気付いた。

 

価値を生み、お金を生むには労働力を仕入れればよい。
つまり、人を雇えばよいということに気付いた。

 

さらに、労働力にはコスパの良い性質がある。

 

例えば、

●100円で仕入れたミカン→100円くらいの価値

●100万円で買った機械→100万円分くらい動いたら壊れる

このように、商品の価値と値段は釣り合うようになっている。

 

しかし、労働者が生み出す労働力という商品はそれに対して支払うお金より断然大きな価値を生み出す。

 

例えば、労働者が会社に利益を10億円生み出したとする。

その利益を出すのに費用を引いたとしても、5億円の報酬をもらってもおかしくない。

 

しかし、実際はいくらの価値を生んだかは関係なく、30万円などの決まった給料をもらうだけ。

 

30万円もあれば、

「食べたいものをたべて、マンションに住んで、ベッドでゆっくり寝て、明日から働けるでしょ?」

と釣り合いの無いお金で騙されている。

 労働者が生み出した価値と対等な給料の交換になっていない。

 

これが、”再生産費”という考え方。

 

再生産費とは、”明日も元気で会社で働いてもらうのに必要な費用”のこと。

(例えば、食費、家賃、養育費など)

 

超重要なポイントは、”労働力に対して支払う給料は再生産費だけでOK”ということ。

 

私たちは慣れてしまっているので普通と思うが、実はこれはおかしい。

労働力が生んだ価値と同じ程度の報酬をもらえていないことになる。

 

労働者が生み出した価値と対等な給料の交換になっていない。

 

 

そうなると、資本家がひたすら儲かる。

労働者が新しい商品などの大きな価値を生み出しても、資本家が労働者に払うのは再生産費のみ。

 

「労働者が生んだ価値」-「労働者支払う再生産費」

 

この差額が資本家の得られる大きな利益になる。

 

 

この仕組みを回し続けると、資本家はさらに稼ぐことができる。

 

労働者が生んだ価値と再生産費の差額を再び、労働者を雇うことに回せば、また労働者がみんなで大きな価値を生み出す。

すると、さらに大きな利益が返ってくる。

 

その利益でマシンを買う。

そして、そのマシンを扱える優秀な労働者だけ残して、残りを首にすれば、さらに、コストダウンが可能になる。

 

もし多くの企業が、生み出す価値を大きくしつつ、労働力のコストダウンを続けるとどうなるか?

 

段々世の中に、安くて、コスパがいい商品ばかりが流通する。つまり、物価が安くなる。

 

するとどうなるか?

 

物価に合わせて労働者の給料がもっと下げられる。

これを繰り返していく中で、資本家の資本はどんどん増え、発言力は高まる。

反対に、労働者の収入はどんどん減り、発言権も減っていく。

 

資本主義の社会は加速するほど、資本家がどんどん強くなり、労働者はどんどん弱くなる仕組み。

 

そのポイントとなるのは、労働力。

労働力が再生産費だけで仕入れられるということが問題となっている。

 

まとめ

労働力はコスパが良い。その理由は対価が”再生産費”だから。

もちろん、利益が出せない新人の内は”再生産費”に守られているという見方もできるでしょう。

会社に利益をもたらしていなくても、基本給は保証されています。

 

しかし、自分の実力が上がり、利益をもたらせるようになった時には、その対価をもらえているか考えることも必要なのではないでしょうか。

 

そして、その対価を会社に求めるのだけでなく、その他の手段で稼ぐ方法を模索しておくことも大切なのではないかと考えさせられました。

 

 今回は特に、自分自身に向けた記事になってしまいましたが、読んでくれた方の参考になれば幸いです。